不良姿勢とは

不良姿勢とは、身体が重心線から乱れた姿勢の状態です。

姿勢が崩れると、日常生活やスポーツ動作始めとするあらゆる動作に支障をきたすばかりでなく、肩こり、腰痛や頭痛の原因になったり、下腹がでたり、自律神経にも影響をおよぼす可能性があります。

不良姿勢の原因は、うまれもった骨格が原因となることもありますが、現代社会におけるワークスタイル(パソコンやスマートフォンなどの過使用)が正しい姿勢の維持を損なわせるといった後天的要因も関係してきます。

ここでは不良姿勢に対する当ジムでのアプローチ法とご自分でできるセルフエクササイズについて、不良姿勢をタイプ別に分類してご紹介しています。

姿勢の種類

①理想的な姿勢

横からみた理想的姿勢は、

耳たぶ
・肩峰
・大腿骨大転子
膝蓋骨後面
・外果前方(くるぶし前方)2~3cm

のポイントが一直線上に位置している立ち方です。立っている時に各ポイントが重心線上にあれば、各関節や筋肉への過剰な負荷がかかりにくく、理想的な立ち方です。コアの筋肉をバランスよく使える状態とも言えます。

②不良姿勢:後弯前弯型姿勢 (カイホロードシス) 

後弯前弯型姿勢を先ほどの理想的な重心位置と比較した場合、

・頭部前方変位(頭部前突位):ストレートネック
・上部頸椎過伸展・下部頸椎過屈曲
・胸椎過後弯(肩甲骨外転内旋):巻き肩
・腰椎過前弯(反り腰)・骨盤前傾

となります。

頭部前突により、頚部の筋肉(とくに後頭下筋群)や胸鎖乳突筋が過剰に働くことで頚部から頭部へ走行する神経が圧迫され、その結果肩こり・頭痛やめまいを起こしやすくなります。
腰部は過前弯によって、腰椎椎間関節などの関節に負担がかかりやすくなり、椎間関節性腰痛の原因にもなります。この状態でスクワットなどのトレーニングをすれば怪我をする可能性は非常に高くなります。

短縮しやすい筋肉:頚部伸筋群、大胸筋、小胸筋、前鋸筋、腰部脊柱起立筋、腸腰筋、大腿直筋など

弱化しやすい筋肉:頚部屈筋群(前頚筋)、僧帽筋中下部繊維、上部脊柱起立筋、腹筋群など

※上位交差性症候群と下位交差性症候群が合わさった症状でもあります。

※後弯前弯のうち胸椎後湾がなく、腰椎前弯が強調された前弯型(軍人型=military posture)とよばれるものもあります。

③不良姿勢:後弯平坦型姿勢 (スウェイバック)

この姿勢の特徴は、骨盤後傾であることです。
頭部は先ほどの後弯前弯型姿勢と同様に前方変位しており、胸椎も長い後弯姿勢になっています。骨盤後弯にともなって腰部は平坦になり、壁に背を向けて立った場合、壁と腰の隙間に手がほとんど入らないくらいになります。
頭部前突位による肩こり、頭痛、めまい、顎関節にも影響を及ぼすこともあります。
骨盤後傾に伴って、ハムストリングスなどの下肢後面筋群が過剰に働き、股関節痛、膝窩部痛、腰痛の原因にもなります。

短縮しやすい筋肉:頚部伸筋群、大胸筋、小胸筋、前鋸筋、ハムストリングスなど

弱化しやすい筋肉:頚部屈筋群(前頚筋)、僧帽筋中下部繊維、上部脊柱起立筋、腸腰筋、大腿直筋など


④不良姿勢:平背型姿勢 (フラットバック)

平背型という姿勢は、脊椎(脊柱)全体が平坦で、頸椎・胸椎・腰椎の生理的なS字湾曲がみられないフラットな状態を指します。フラットバック姿勢とも呼ばれています。

生理的な弯曲がないので、脊柱にかかる衝撃をうまく逃がすことができずに、脊柱椎間関節や椎間板に損傷をきたしやすくなり、結果として椎間板ヘルニアなどの症状が現れることもあります。

全体的に脊柱は平坦になっていますが、下部腰椎は過伸展気味になっていることもあり、椎間関節症や脊柱管狭窄症の原因になることも考えられます。

短縮しやすい筋肉:腹直筋・ハムストリングスなど

弱化しやすい筋肉:腸腰筋など

不良姿勢に対するアプローチ(ストレッチ、リリース~トレーニングまで)

①後弯前腕型姿勢 (kyphosis-lordosis)


胸椎後湾変の場合、多くのケースで上中部肋骨内旋変位、下部頸椎(C6/C7)前方変位と上部頸椎過伸展変位が生じているため、コアを整えると同時に胸郭(肋骨、胸椎、胸骨)と顎を引くためのチンインエクササイズを行います。

腰椎~骨盤周辺については、過伸展(過前弯)傾向にあるため、ストレッチポールを用いて骨盤や背骨を整えるリアライメントをします。腸腰筋などの股関節屈筋は短縮していることが多いため、パーソナルストレッチやセルフストレッチを用いて緩めていきます。

腹筋群は弱くなっている場合が多いので、横隔膜や腹横筋等の呼吸にかかわる組織の活性化も促していきます。また、骨盤後傾筋である骨盤底筋群を鍛えるヒメトレも実施していきます。

②後弯平坦型姿勢 (sway-back posture)

後弯平坦型(スウェイバック)についても、まずは胸椎後湾、頭部前方変位の問題に対処することを軸に、背骨のリアライメントから行っていきます。

上部頸椎の伸展変位には、後頭下筋群の短縮が関与しており、このことが原因で頸部の神経が圧迫されることで頭痛などの関連症状も併発することが多いため、後頭下筋群のリリースを重点的に行います。

腰椎は全体的には平坦傾向にありますが、下部腰椎は過伸展気味になっていることもあり、これに関しては、呼吸や腹横筋エクササイズで、伸展変位(過前弯)を修正していきます。

骨盤から下肢は、骨盤後傾の影響で、ハムストリングスが過緊張になっており、これが原因で、肉離れや膝窩部痛の原因となるため、ハムストリングスへのアプローチは必須となります。

③平背型姿勢 (flat-back posture)

平背の場合も、胸椎はやや後湾気味になっており、上中部肋骨、下部頸椎はそれぞれ、内旋変位、前方変位していることが多いため、まずはそれをストレッチポールやパーソナルストレッチを使って修正していきます。

とくに平背の場合は、脊柱の生理的湾曲が少なくなった柔軟性を欠いた脊柱構造になっているため、アプローチの際は、運動も多く取り入れながら、総合的に修正していきます。


トレーニング

①後弯前弯型姿勢 (kyphosis-lordosis)

 point:
 上背部筋(僧帽筋中下部繊維・菱形筋)・腹筋群・大殿筋などの強化→活性化
 後頭下筋群・斜角筋・下部脊柱起立筋・腸腰筋などのリラクゼーション→抑制


 

  •  壁立ちエクササイズ(下顎の後方への引き付け練習)
  •  壁に背を向けての両手バンザイ動作
  •  壁ピタスクワット(壁に胸と膝頭をつけたままスクワット)
  • 横隔膜呼吸
  • 抱え込みストレッチ(下部脊柱起立筋、殿筋のストレッチ)
  • 腸腰筋ストレッチ(フロントランジ姿勢)
  • 腹筋群・殿筋群の活性化


②後弯平坦型姿勢 (sway-back posture)

 point:
 上背部筋(僧帽筋中下部繊維・菱形筋)・大殿筋・腸腰筋などの強化→活性化
 後頭下筋群・斜角筋・ハムストリングなどのリラクゼーション→抑制

 

  •  壁立ちエクササイズ(下顎の後方への引き付け練習) 
  •  壁に背を向けてのバンザイ動作
  •  壁ピタスクワット(壁に胸と膝頭をつけたままスクワット)
  •  ハムストリング抑制(ハムストリングのストレッチ)
  •  大殿筋活性化(ヒップリフトなど)
  •  腸腰筋活性化

③平背型姿勢 (flat-back posture)

 point:
 上背部筋(僧帽筋中下部繊維・菱形筋)・大殿筋・腸腰筋などの強化→活性化
 後頭下筋群・斜角筋・ハムストリングなどのリラクゼーション→抑制

 脊柱可動性の改善
 

  • キャット&ドッグ(脊柱可動性向上)
  •  胸椎回旋系エクササイズ
  •  壁ブリッジ/床ブリッジ
  •  腹筋群(特に上部)の抑制
  •  腸腰筋活性化

 

詳細はお気軽に当ジムまでお問合せください。

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